こんにちは。今日は、保育園や幼稚園での日常の一コマ、「お昼寝布団」についてのお話です。
その日は、5歳児クラスに入っていました。ちょうど休み明けということもあり、子どもたちはみんなお昼寝布団を持って登園してきます。これがまた、30人前後いるクラスともなると…なかなかの量。全家庭分となると、想像してみてください。4人家族の布団を一気に収納するようなものです。まるで旅館のバックヤードのような大仕事です。
そしてここで、ありがちな「あるある」が発生します。

名前がない布団、シーツ未装着…どうする?
シーツがまだセットされていない布団、そして何より名前の記載がないもの。こうなると、もはや「これは誰の布団…?」と謎解き状態です。
保育園や幼稚園から「名前を記入してください」と繰り返しお願いしているのは、こういった現場の混乱を防ぐためでもあるんです。もちろん、保護者の方々だって毎日仕事や家事、育児で大忙し。その大変さ、よく分かります。
実を言えば、私も自分の子どもたちの持ち物に名前をつける作業で、「なんでここまでやらなきゃなの…」「しかも3人分…時間ない…!」と心の中で叫びたくなる時もあります。
でも、園での経験を通して、「ああ、これはやっぱり必要なことなんだな」と実感するんです。名前があるだけで、先生たちの時間も労力も大きく節約でき、なにより子どもたちがスムーズに安心して過ごせる環境につながるからです。

名もなき家事、無限にある日常
子育て家庭には、「名もなき家事」が本当にたくさんあります。名前つけ、持ち物の準備、連絡帳の記入、毎日の送り迎え。どれも小さなことのようで、実は手間と時間がかかります。育児という大きな仕事に加え、こうした細やかな家事をこなしているすべての保護者の方、本当に尊敬します。
時には、自分を褒めてあげてくださいね。

怒涛の園生活、午後の時間帯は戦場!?保育士の目まぐるしい奮闘と保護者の協力の大切さ
話は再び、園での様子に戻ります。
給食を終えると、子どもたちはお昼寝の準備に入ります。着替え、トイレ、手洗いを済ませる一方で、保育士たちは休む間もなく大忙し。使用した食器の片付けに始まり、テーブルを拭き、椅子を一脚一脚消毒しながら拭き上げ、床掃除。さらに、着替えやトイレの介助も同時並行で行いながら、子どもたち30名近く分の敷布団をセッティングしていくのです。
これは、園生活の中でも「一、二を争う怒涛の時間帯」といっても過言ではありません。まさに分刻みの戦場。保育士一人ひとりが目まぐるしい作業の中でも、常に子どもたちの安全と安心を守ることを最優先に動いています。
この午後の時間帯にこそ、保育士の専門性やチームワーク、そして臨機応変な判断力が問われる重要な場面が詰まっています。保育という仕事の奥深さを、ここで改めて実感させられる瞬間です。
この部分については、また別の記事で詳しく取り上げたいと思っていますが、今日は本題に戻りましょう。

「…くさいね」子どものひと言に保育士パニック!その理由は?
さて、すべての準備が整ったら、いよいよお昼寝の時間です。
一人の保育士が、2~4人、時には5人もの子どもたちを同時に「トントン」しながら寝かしつけます。子どもたちの眠気のリズムや、その日の気分によっては、なかなか寝付けない子も。そんな中でも、保育士たちは一人ひとりに寄り添い、静かに語りかけたり、背中をさすったりして、心地よい眠りへと導いていきます。
その出来事は、お昼寝前の寝かしつけの時間に起こりました。
私は、左右にいる2人の男の子を同時にトントンしながら、寝かしつけをしていました。すると、片方の男の子がじーっとこちらを見つめてきました。何か言いたそうな表情。でも、なかなか言葉にはしません。
しばらくすると、その子は隣に寝ていた女の子と、毛布にくるまりながら小さな声でこうつぶやいたのです。
「…くさいね。」
「うん、くさい。」
――その瞬間、私の心の中は一気に大騒ぎ!
「キャー!やっぱり今朝、生乾きだった服が臭ってる!?」「いや、もしかして私の体が…?ちゃんと昨日お風呂入ったけど…!」と、頭の中がグルグルと回転しはじめました。
しかも、その日はちょうど鼻づまりがひどく、においに気づけていなかったのです…。でも、5歳児の反応は正直そのもの。ごまかしがきかない年齢です。きっと何かが臭っていたのは間違いない…と、内心冷や汗でした。
でも、その“におい”が自分のものなのかが分からなくなっていた私は、必死に鼻づまりの嗅覚を総動員し、原因を突き止めようとしました。
そしてついに、恐る恐る聞いてみたのです。
「もしかして……先生がくさいの?」
すると、隣で目を丸くしていた男の子も、そのまた隣の女の子も、静かに、でも確実に――コクン。
……せ、先生、終了のお知らせです!!!
恥ずかしさとショックで、思わず心の中で叫んでしまいました。面目丸つぶれとはまさにこのこと。子どもたちは本当に正直です(涙)。
とはいえ、ここで「もう無理!今日はおしまい!」なんて投げ出すわけにはいきません。
ぐっと気持ちを切り替えて、体裁をなんとか保ちながら、プロとして、保育士として、子どもたちをトントンと根気強く寝かしつけていきました。

寝かしつけ中に起きた“におい事件”の真相とは?
そうして寝かしつけを続けているうちに、不思議なことが起きました。
さっきまで完全に閉ざされていた私の嗅覚が、じわじわと復活してきたのです。もしかして交感神経が高ぶったせい?とにかく、鼻が働き始めたのを感じました。
すると――ふわっと、私の鼻の中に強烈な香りが漂ってきました。
……ん?これは……!
まるで一瞬でお花畑に放り込まれたかのような、濃厚なフローラルの香り!!
ラベンダー?ローズ?いや、もう全部盛りみたいな勢いで、全身がフローラルに包まれていく感覚。
まさか、あの「くさい」の正体って……この香り!?
なんと、においの正体は……その男の子のお昼寝用タオル!
そこから漂っていた柔軟剤のフローラルな香りが、空間全体にふわっと広がっていたのでした。

香りの正体は柔軟剤?子どもと大人で違う「くさい」の感覚
大人の私からすると「とってもいい香り」だったのですが、子どもたちにとってはかなり強烈だったようで……。それを顔に近づけていたら、そりゃ「くさい」ってなるかもね(笑)。
こうして“におい”の原因がようやく判明したわけですが、ここでふと感じたことがあるんです。
私たち大人って、「くさい=悪臭」と決めつけがちじゃないですか?
でも、子どもの「くさい」って、本当に多種多様なんですよね。わが子のエピソードで言えば、とんこつラーメンの香りを「くさい」と断言したこともあります(笑)。美味しそうな香りでも、子どもの鼻には“苦手”なにおいになることもあるようです。
子どもって、本当に純粋で、素直で、感じたことをストレートに言葉にします。
ときにその言葉が、ズキッと胸に刺さることもありますが、それもまた子どもらしさ。
私たち大人も、そのストレートな感性に、ちょっとだけ耳を澄ませてみると、新しい気づきがあるかもしれませんね。

「子どもたちは宝箱」――毎日の保育で感じる幸せと感謝
子どもたちと毎日向き合うことは、まるで宝箱を開けるような感覚です。彼らの小さな発見や成長を目の当たりにするたびに、その純粋で素直な反応に驚かされ、感動しています。彼ら自身の成長や変化を深く理解していると、日々の仕事が面白く、毎日が新たな発見の連続になります。
そして、こんな素晴らしい子どもたちと関わりながら、その成長をサポートできることは、私にとって本当に幸せなことです。子どもたちに愛情を注ぎ、立派な大人へと成長するお手伝いができるなんて、まさに私の天職だと感じています。
こうして毎日子どもたちに向き合いながら、自分自身も成長を感じられることに感謝の気持ちでいっぱいです。今後もその愛情をもって、子どもたちの未来を一緒に育んでいけたらと思っています。
保育の現場は、予定通りにはいかないことばかり。子どもたちの純粋さにドキッとさせられることもありますが、それがこの仕事の面白さであり、やりがいでもあります。
このようなリアルな出来事が、子育て中の保護者の方や、保育士を目指す方たちに、少しでも「あるある!」や「わかる!」と感じてもらえたら嬉しいです。
